
怪談
-ghost story-

EPISODE01
ある夏の寝苦しかった翌日、それは病んでる1本の電話から始まりました。
「プルルルルヮ ヴァルルルルゥ」と何故かその着信音は不協和音に感じました。
やぁだなー、 やぁだなー、こわいなー、こわいなーと思って電話にでると
J社「あのー、山形の「J社」と申します、協力企業様を探しておりまして・・・」
いかにも出来る営業マン的な口調で爽やかそうな好青年という印象でした。
私「はぁ、何の用でっしゃろ?見積りばっかりやったら要りまへんで」
~中略~
J社「お互いがWINWINな関係性を築ければ、それ自体が我が社の利益になります。
それでは今後ともよろしくお願いいたします」電話を切った後に思ったのですが、
そもそもなぜ山形の会社が兵庫の会社に?と少し不審に感じましたが、
あの時は特に気にもしませんでした。今思い返せば取引はしなければよかったと後悔しています。
そして「J社」は少しずつ本性を現しだしました。最初はコストダウンを要求されました。
こちらから「仕事を下さいと」お願いしていれば理解も出来るのですが、
なぜ「仕事してほしい」と言っている側がコストダウンの要求が出来るのか理解に苦しみました。
それからというもの「専用の納品書を購入しろ」だとか「送料が高すぎる」などと
要求が徐々の奇妙な冒険の様にエスカレートしていきました。
ある日、商談で「J社」の事務所に1度だけ行った事があったのですが、
その光景は明らかに異様でした。電気が薄暗く、誰一人口を利く者がなく、
営業なのか購買なのか、皆が電話口でボソボソと話しているのです。
そこにはあの「いかにも出来る営業マン」的な口調の人は居ませんでした。
特に目を引いたのが、年のころでは20代後半の専務(息子)が鬼の形相アンド仁王立ちで
初老の事務員を睨めつけており、初老の事務員は必至でパソコン操作をしているのです。
周囲も日常なのか特に気にした様子はありませんでした。事務所の滞在時間は30分程でしたが
終始 鬼の形相アンド仁王立ちは続いておりました。
月日は経ち、年末に差し掛かる慌ただしい朝にまた「J社」からの電話でした。
J社「お世話様です、本日は仕事の話ではないのですが少しお時間よろしいですか?」
私「部長、楽しい話やったら何ぼでもしましょ、昨日見たテレビとか、部長の娘さんの話とか」
J社「私とはそんな楽しい話はできませんよ、さておき実は我が社のお客様の
「おせち」(@20000)を最低2個は購入してほしいのです(しなさい)
私「ぎゃーーーーー、」
その会社が今も存在しているのかは定かではありませんが、きっと周りから嫌われています。
あの頃大きな心の傷を負ったのは言うまでもありません。
